2017年10月17日(火)、Gibson プロダクトテクニシャンの福嶋氏を迎え、ロッキン名古屋栄店&ロッキン刈谷本店でスタッフ向けでGibson 公式メンテナンス術セミナーを開催致しました。

Gibson ”公式メンテナンス術” のススメ

「Gibson製品が出荷される状態 = Gibson社が理想とするギターの状態」を把握し、さらに何故そのセッティングにするのかを深く理解し、より理想の状態でお客様へギターをお渡しさせて頂く技術と知識を付ける事が”公式メンテナンス術セミナー”の目的です。Gibson製品はどのように調整されて皆様にお届けさせて頂くのか、ご自身で調整される方の参考になるように画像や数値も交えてご紹介させて頂きます。

※今回はGibson Custom Shop &Gibson Memphis製品を調整に使用しました。幅広い種類のギターを発売しているGibsonではギター毎に個性が有りそれぞれに弦の巻き方や調整方法が異なり、全てのギターをご紹介する事は出来ませんので”Custom&Memphisの一般的な調整方法”としてご覧下さい

弦交換

Gibsonヒストリック製品では、弦をペグポストで折り返す通称「Gibson巻き」が採用されております。これにはもちろん意味があり、古いGibsonギターは木取として折れにくいという理由からヘッドの先端からナット側にかけてヘッドの厚みが厚くなる「テーパードヘッド」が採用されている為、ナットに最も近い6弦側では弦を複数回巻く事が出来ず、弦を重ねて巻かなければしっかり弦を止める事が出来ません。そこで、弦で弦をロックする方法であれば巻き数が少なくともしっかり弦を巻けるという事でこの方法が今でも採用されています。

クリーニング

フレットクリーニング中
弦が張られた状態でクリーニングする際の方法
ギブソン公式メンテナンス術で使用するM3 Micro Fine
“Gibson公式メンテナンス術で使用する金属磨きピカール

錆びたフレットでは演奏性も弦の寿命も悪くなってしまう為、汚れたフレットは綺麗にクリーニングします。通常は弦交換と一緒に行いますが、弦は新しくフレットが汚れている場合も有り、そんな時は十分に弦を緩めた上でフロントピックアップのエスカッションネジを少し浮かせてネジに弦を引っ掻ければ作業スペースを確保出来ます。汚れたフレットはMicro Fineで汚れを取り除いた上で定番金属磨き”ピカール”で磨き上げたフレットはピカピカになり演奏性もアップ!気持ち良くギターを弾く事が出来ます。

調整

ネックの反りをはじめ、各部の細かな点まで確認~調整していきます。一般的にネックは殆どストレートな状態から僅かに純反りした程度が理想的な状態と言われますが、Gibson社では数値として1フレットと16フレットを抑えた状態で7Fのフレット頂点~弦の下迄が0.2mmの状態になるようにトラスロッドでネックの反りを調整し、弦高は12F上で1弦側1.2mm~6弦側2.0mmへ、各ピックアップのポールピースは最終フレットを抑えた上で弦の下からポールピースの頂点が1.6mmになるように調整しています。

Q&Aタイム

ギターの調整は以上で完了ですが合間合間に笑いありのQ&Aタイムがあり、”何故その状態にするのか”、”どんな状態が弾き易いのか”等、盛りだくさんの内容でした。Gibsonギターのスペシャリストとして、皆様が知る数多くのトップギタリストの使用ギターを調整・改造する福嶋氏だからこそ、プレイヤー目線での意見も取り入れた素晴らしい調整のノウハウを教えて頂きました。ご購入頂くGibson製品は元より、調整でお預かりさせて頂くお客様にもよりご満足頂ける為にこの経験を活かして精進致します。この度は貴重な経験をさせて頂き誠に有難う御座いました!

Gibson公式メンテナンス術セミナー集合写真