Gibson プロダクトテクニシャンの福嶋氏によるGibson 公式メンテナンス術セミナー番外編!Gibson巻の弦交換方法をご紹介させて頂きます!

Gibson巻きによる弦交換とは

Gibsonヒストリック製品では、弦をペグポストで折り返す通称「Gibson巻き」が採用されております。これにはもちろん意味があり、古いGibsonギターは木取りとして折れにくいという理由からヘッドの先端からナット側にかけてヘッドの厚みが厚くなる「テーパードヘッド」が採用されている為、ナットに最も近い6弦側では弦を複数回巻く事が出来ず、弦を重ねて巻かなければしっかり弦を止める事が出来ません。そこで、弦で弦をロックする方法であれば巻き数が少なくともしっかり弦を巻けるという事でこの方法が今でも採用されています。

Gibson巻きの弦交換方法

弦に折り目をつけます

まずは「張りたい弦のペグポストから次のペグポストまでの7分目程度の位置」で弦を曲げます(写真左)。今回は6弦を張っているので、6弦ペグ~5弦ペグ迄の7分目程度の位置で折り目を付けているのが分かりますね。

全ての弦を同じ量残して折り目を付けて巻けば、最も太い6弦は巻き数が少なく1弦は巻き数が多くなります。多く巻かれた1弦は巻かれた弦がポストの下に行く事でテンションがかかり、弦毎のテンション感の違いを和らげる役目にもなります。

※残す量は次のペグの7分目程度となっておりますが、6弦は2周目以降巻くと巻いた弦の上にさらに弦を巻いてしまう事もありますので、ご自分のギターに合わせて適宜調節してください。

弦を折り返して巻き付けます

ペグポスト迄引き寄せます
弦を下にくぐらせます
弦を折り返します

写真左より、折り目を付けた所まで弦をポストに引き寄せ、余った部分をヘッドの内側に向けて曲げてこれから張られる弦の下を通します(写真真ん中)。そして、下に通した弦を張る弦の上側にギュっと折り曲げる事でフックが完成し、ここで弦を抑える為巻き数が少なくともチューニングを安定させながらしっかり弦を張る事が出来ます。

巻くべし!

弦を張りながらGibson巻していきます
Gibson巻による巻き方完成

後は弦を巻くだけ!この時、余っている方も張る方も弦を引っ張りながら張るとたるみなく綺麗に張る事が出来ます。

Gibson巻きはGibson製品以外のアコースティックギターでも良く見られる巻き方です。もしGibson巻きで張った事の無い方は是非一度チャレンジしてみては如何でしょうか?ご自身では難しそうだと思う方は、当店でも弦交換(要別途工賃)を承っておりますのでギターをお持ち込み頂き「Gibson巻きで弦交換を!」と仰って下さい。